KLASS’s VISION
ニュー・インダストリーの
可能性を
シナジーで切り拓く
2020年、株式会社ROSECCを子会社化してスタートさせた
新規事業、ニュー・インダストリーセグメント。その事業内容や成長性、目指すビジョンについて、
KLASSとROSECCのトップが語ります。
KLASS代表取締役社長 頃安雅樹(以下、頃安): 当社は2018年に上場して以降、M&A案件を紹介されるようになりました。かねてから、発展のためには産業機器事業の拡大が必須だと考えていたので、M&Aも視野に入れていました。そうしたいくつかの提案の中で、ロボット技術を得意分野とするROSECCに大いに関心を持ちました。
最終決断に至ったキーワードは「親和性」と「相互補完性」です。自動化・省力化によってお客様の困りごとを解決するという当社の使命と、ROSECCがロボット技術を使って目指す方向は同じで、「親和性」が非常に高い。また、当社は長年、ロボット技術は用いずに自動化・省力化を実現してきましたが、ROSECCはロボット技術をフルに活用してそれを叶える。互いの特性を持ち寄り「相互補完」ができれば、大きな前進につながると考えました。
ROSECC代表取締役 矢本洋一(以下、矢本): 頃安社長もおっしゃったように、ロボットを使うか使わないかの違いはあれど、両社の事業フィールドは同じ。ともに発展していける可能性を感じました。
頃安: 例えば、切断技術について言えば、当社の場合、刃物や加熱したワイヤーで紙やボード、布を切るのが専門です。一方、ROSECCは、ロボットの先端に取り付けたウォータージェットでプラスチックや金属を切る。これらを併せ持てば、対応範囲が大きく広がることに期待感を持ったのです。
矢本: お客様は自動車製造関連がメイン。お客様の工場において、どんなロボット技術をどう組み合わせるか、それをどう設計・製作するかを提案して納入し、アフターメンテナンスまで提供します。
社名のROSECCの「E」は、Engineering(創意、工夫)の頭文字ですが、このエンジニアリングこそが我々の特長です。それに加えて、工場を持たないファブレスであることも強みだと言えるでしょう。
頃安: 製造部門が社内か社外かは異なりますが、最終的にひとつの装置としてお客様に販売し、メンテナンスまで担うという流れはROSECCもKLASSも同じです。
矢本: ニーズに合わせてロボットの先に装着するものを替え、お客様の工場の自動化・省力化に貢献する、という大枠は変わりません。しかし、自動車関連に加え、住宅設備関連のお客様が増えてきました。
また、当社のコア技術「切る・削る・運ぶ」のうち、「削る・運ぶ」技術の提供が増加傾向にあります。例えば、スピンドルで削ったものを工場内で搬送する、という流れの自動化などです。
頃安: KLASSは、住宅関連をホームグラウンドとしてやってきました。ROSECCは、これまでの自動車関連から一歩踏み出し住設機器関連へと進出中で、我々のフィールドに近づいてきたと言えるでしょう。
頃安: 当社が依頼された仕事でも、ROSECCのロボット技術を用いることが最適解であれば、技術面はROSECCが受け持つというのが理想形です。もちろん、その逆も然り。KLASSとROSECCのどちらに引き合いがきても、お客様が抱える問題を解決することができ、我々としては売上が伸びていく。いわゆるシナジー効果が発揮できるような案件に出会うべく、努力している最中です。
頃安: 現在、2名の技術者がROSECCに出向し、ロボット関連技術の習得に励んでいます。
また、当社の研究開発本部長がROSECCの取締役も兼ねるほか、私たちを含めたトップ同士も、意思疎通や情報交換を積極的に行っています。引き合いがあった際には、KLASSだけで解を出そうとするのではなく、ROSECCの技術を使う余地はないかを必ず検討する。そのような意識が社内全体に根付き始めています。
矢本: 我々のもうひとつのコアとなる新しい技術を日本へ取り入れたいと考えています。それが、シーリング装置。防水や防塵を目的として、これまでは隙間に接着剤を「貼る」のが主流でしたが、 シーリングは発泡剤を「塗る」技術です。
その材料を扱うトップメーカー、ドイツのRAMPF(ランプ)社との取引を実現させようとしているところです。これを武器に、年間300億と言われる日本のシーリング市場に入り込む算段です。
頃安: ロボットの先端にウォータージェットの代わりにノズルを装着し、目指す場所へ素早く発泡剤を塗る技術に、矢本社長は目をつけたわけです。この技術は、自動車関連はもとより、浴槽などの住宅関連にも展開することができます。さらには、まったく新たなニーズにも対応できるでしょう。
矢本: これまで培ってきた「切る・削る・運ぶ」に、新たに「塗る」も加わるわけです。まずは、この技術を配電盤に展開するべく取り組んでいます。
株式会社 ROSECCのウォータージェットシステムをはじめとした各種システムの検証試験
頃安: 当社ではこれまでも、「他で断られたが、なんとかならないか」という依頼を多く受けてきました。これを強みと捉え、『自動化技術の駆け込み寺』と標榜しています。
そこへ、ROSECCという力強いパートナーを得て、これまでより多くのお客様の困りごとを解決できるようになると確信しています。まだまだ残っている手作業の領域を、両社のタッグで自動化していきたいです。
頃安: ROSECCは当面、売上10億円という目標に向かっていきますが、KLASSもインダストリーとROSECC(ニュー・インダストリー)を合わせて40〜45億の売上達成を目指しひた走っています。『駆け込み寺』としての存在感をより強くアピールし、両社の得意技を合わせて対応していきます。
具体的には、共同受注した案件について、役割分担をして物作りを行い、最終的にはひとつの装置として納品する。その第一号を実現できるよう、現在は実績を積み上げている最中です。
矢本: もちろんです。そのきっかけとなるのが、シーリング装置だと考えています。ROSECCの認知度が新たな分野でも高まり、それが売上拡大へとつながるでしょう。
頃安: 当社でも、エネルギー関連、環境関連、安全関連からの引き合いが増えています。これまで以上に広い分野に対応できる力を培い、ROSECCの事業拡大、ひいては当社の事業拡大を果たします。
矢本: ロボットによる自動化・省力化は今後、ますます需要が高まるでしょう。KLASSとROSECCが協業すれば、例えば、工場の建屋からライン構築まで丸ごと請け負うような案件にも挑戦できると考えています。
頃安: コロナ禍を機に多くの製造業が海外へ流れた中で、当社は国内に踏みとどまり、空洞化を防いできたという自負があります。今後は、あらゆる業界で人手不足が不安視されています。我々が得意とする省力化・自動化の技術は、その波を食い止める一手になる。そんな強い信念を持ち、立ち向かってまいります。
KLASS入社2年目の2021年から、ROSECCへ出向しています。ロボット技術、そして受注から納品までの一連の業務経験を積み、両社のシナジーに貢献することが目的です。
4年経った今では、小規模案件であれば、構想からロボットティーチングまでを一人で行います。例えば、ロボットと3Dロボットビジョンを組み合わせ、商品をピックアップするピッキングシステム導入の案件では、稼働率やサイクルタイムが評価され複数ラインの受注につながりました。
また、新規事業であるシーリング装置に関する業務にもメイン担当者として携わっています。販売前からドイツで研修・教育を受けたり、ゼロから自分で調べたりして、知識と技術を徹底吸収しているところです。シーリング技術は浴槽や自動車にも用いられており、既存のお客様への販路獲得も目指しています。
KLASSが専用機で培った技術と、ROSECCが持つシステムインテグレーターとしての技術がシナジーを発揮できる場面は少なくありません。例えば、畳製造装置においてロボットが畳を自動運搬する、材料セット後はロボットが畳を完成させるなど。そんな両社の可能性をつなぎ、成果へと導く役割を果たせるよう今後も努めていきたいです。
KLASS株式会社
研究開発本部・開発4部 主任
F.N.